せどりを行う際にはいくつか提出すべき書類が存在します。
そのうちのひとつが、「開業届」と「青色申告承認申請書」です。
これらを提出しておかないと、後々面倒なことになります。
そこでここでは、開業届の提出方法と、提出すべき理由についてまとめていきましょう。
開業届と青色申告申請承認書とは?なぜ提出が必要?
これらの書類は、ビジネスとして物販をする際に必要な書類です。
開業届けとは「開業した」ということを国に報告する書類のことをいいます。
国は税金を徴収するために事業主を把握しておかなければならないので、そのために開業届の提出を義務付けているのです。
法律では、基本的に事業を開始してから1ヶ月以内に開業届を提出することが義務付けられています。
ただ、人によっては今まで開業届を提出せずに事業を続けていたという方もいるかもしれません。
それでも、特に何か罰則があるわけではありません。
個人事業主としてであれば問題なく営業を続けられますし、不都合はほとんど起こらないでしょう。
そうなると、わざわざ開業届を出す理由が見当たらないかもしれません。
貴重な時間を使い、意味もなく面倒なことをする方はほとんどいないでしょう。
しかし実際は、ほとんどの個人事業主が開業届を提出しています。
その理由は、決して(罰則はないけれど)法律で義務付けられているから、という実態のない理由ではありません。
開業届を提出する方が多い理由は、開業届にそれだけのメリットがあるからです。
大きなメリットは2つあります。
ひとつめのメリットは、「青色申告ができる」という点です。
これは先述した青色申告承認書とも関わってきます。
青色申告とは確定申告の方法のひとつで、節税しやすい申告方法です。
青色申告を行うと、本来計算すべき利益から、65万円引いて計算することが許されるのです。
例えば、経費を差し引いても年間100万円の利益があったとしましょう。
通常の方法で確定申告を行うと、ここから10万円を引いて計算することが許されます。
しかし、それでも残った90万円に対して税金がかかってしまいます。
細かいところは抜きにしても、およそ45000円程度の税金がかかってしまうでしょう。
ところが青色申告を行うと、65万円を引いて計算することが許されるので、残るのは35万円です。
すると、かかる税金はたったの17500円です。
つまり、青色申告をすると30000円前後も税金を節約することができます。
そして、青色申告をするためには「青色申告承認申請書」を提出しなければならず、この書類を提出するためには結局開業届を提出しなければならないのです。
要するに、開業届を提出して青色申告承認申請書を提出すると、それが節税に繋がります。
この点は、開業届を提出する最大のメリットといってもいいでしょう。
開業届を提出するもうひとつのメリットが、事業用の口座を開設できるという点です。
通常、同一人物の口座はひとつの銀行にひとつしか持てません。
しかし、開業届を提出すれば屋号を持った銀行口座を持つことができるのです。
こうすることで、資金管理が容易になりますし、社会的信用も増します。
青色申告ができるという点と比較すると些細なメリットではありますが、これも見逃せないメリットのひとつです。
開業届の提出方法と書き方! 青色申告承認申請書はどう出すの?
開業届自体、作成するのはそう難しいことではありません。
むしろ、国としてもなるべく提出してもらいたいと考えているので、手続きは極力簡単にしています。
具体的にやるべきことはたったの3ステップです。
- 税務署に行って書類をもらう
- 必要事項を記入する
- 提出して審査を待つ
最寄りの税務署がない場合は、家のパソコンで「freee」を使ってオンライン提出する方法もあります。
オンライン申請をするにせよ、税務署で申請をするにせよ、いずれにしても開業届を記載しなければなりません。
前述したように難しいことはほとんどないのですが、ややこしい点もあるので詳しく解説します。
実際に記載すべき事項は以下の通りです。
特にややこしい点に絞って解説していきます。
- 納税地と住所
- 届出の区分/所得の種類
- 開業に伴う届出書の提出の有無
- 給与等の支払いの状況
これら4つの点について解説していきましょう。
納税地と住所
住所に関しては、自分が現在住んでいる場所を記載します。
住民票と同じものを記載しましょう。
「居住地」に関しては、今自分が住んでいる場所を記載します。
住民票に記載している住所と同様ならば、「同上」と記載して構いません。
そうでないのなら、今住んでいる場所を記載してください。
次に「事業所」は、オフィスがある場所や店舗がある場所を記載します。
個人事業主としてせどりをしている場合は大抵が自宅がオフィス扱いになるので、そちらを記載することになるでしょう。
最後に、「納税地」なのか「住所地」なのかを選ぶことになります。
個人事業主は、基本的には「住所地」で構いません。
届出の区分/所得の種類
ここでは、「何をして事業所得を得るのか」ということを記載します。
特殊な例を除いて所得の種類は「事業所得」を選択し、届出の区分は「開業」を選択してください。
例外となるのは、所得の種類が「不動産所得」である場合のみです。
開業に伴う届出書の提出の有無
ここは、自分が青色申告をするかどうかで選択します。
開業届を出すということは基本的に青色申告をすることになると思うので、だいたいの場合で「有」を選択しておきましょう。
給与等の支払いの状況
ここでは、従業員に関して記載します。
専門的に雇っている方がいる場合はここに記載します。
青色申告をする専従者がいる場合は「専従者」欄に、それ以外の従業員がいる場合は「使用人」の欄に人数を記載してください。
もし月の給与が88000円を超えている場合は、「税額の有無」の欄に「有」と記載しましょう。
特に従業員を雇っていない場合は、何も書かずに空欄にしてください。
青色申告承認申請書の書き方と提出方法
先述した通り、青色申告承認申請書を同時に提出する場合は開業届と一緒に出さなければなりません。
とはいえ、こちらの手続きもそう難しいところはありません。
文章に書いていることを調べて、ひとつずつ埋めていけばいいだけです。
ただ一点だけ、注意すべき欄があります。
それが、「青色申告の特別控除について」という欄です。
ここでは、青色申告による65万円の控除を受けるかどうかを選択します。
青色申告をするということは、基本的に65万円控除を受けるつもりだと思うので、65万円の控除を受けることができる「複式簿記」にチェックを入れてください。
それに加えて、その下の欄に「現金納帳、経費帳、固定資産台帳、総勘定元帳、仕訳帳」にチェックを入れましょう。
これで青色申告承認申請書の書き方は完了です。
税務署であれば、困ったときに税理士の方に質問することもできるので、遠慮なく聞いてみましょう。
開業届と青色申告承認申請書はセット! 困ったら税務署に聞きましょう
開業届と青色申告承認申請書は、基本的にセットで提出します。
開業届を提出するのは実質的に青色申告を受けるためであることが多いので、一緒に提出してしまえば手間を減らすことが可能です。
ちなみに、提出する際には納税地を管轄する税務署と、地方自治体の方にも提出しなければなりません。
税務署の方にも言われると思うので出し忘れはないと思いますが、一応確認しておきましょう。